第14回[陰毛怪々]
毛相判断■
ドイツ語で、陰毛のことを『シャム・ハーレ』という。シャムは〈恥ずかしい〉で、ハーレは〈毛〉。直訳すると〈恥ずかしい毛〉……つまり『恥毛』である。
日本では、このアソダーヘアのことを、随分多くの名称で呼んでいる。
陰毛、恥毛、性毛、そそ毛、つび毛、ぼぼ毛、春草、草、藪、叢、稗、すすき、竜のひげ、もみあげ、際わ毛、生え際、襟髪、縮れ髪……。
ちょっと拾いあげただけでも、これだけの呼び名がある。
女性が一糸まとわぬ姿になったとき、まず、目の中に飛び込んでくるのが、バストと陰毛だ。私は今まで、かなり多くの女性の裸を見てきた。おそらく、万を超す女性の裸を拝んでいるはずである。
最近では、あまり女性と遊んだことのない男性でも、女の裸ぐらいだったら簡単に眺められるようになった。ヌード劇場に行けば、それこそ.一糸まとわぬ女性の裸を、一度に十五人から二十人ぐらい、まとめて観賞できる。陰毛どころか、入り口をバックリあけて、内臓まで覗かせてくれる。
ヌード劇易に入る勇気のない男性でも、男性週刊誌のグラビアを開けば、ヘアヌードが簡単に見られる。
そんなわけで、成年に達した普通の男性なら、少たくとも二十人や三十人の女性の陰毛を、直接、または.問接的に跳めて知っていると思うのだが、その形態は十人十色で、それぞれ形が違っている。
一番オーソドックスなのは、逆三角形だが、これにも、毛が太く密集しているもの、薄いもの、直毛で長いもの、極端に縮れていて短いもの……など、さまざまだ。
私が今まで遊んだ女たちの中には、顔はすっかり忘れてしまったが、陰毛の形だげは覚えているという女性が何人かいる。
六本木のスナックで拾った外人女性もその一人だ。彼女は防衛庁の近くにある『B』という店にたむろする売春婦だった。私は、週刊誌の取材で、彼女とホテルに行ったのだが、デンマーク女性だという彼女の陰毛ば、ヘソのあたりから股間にかけて、大きな長方形の毛皮を貼り付けたように、短い金髪の縮れた毛が密集していた。 体形は大柄の肥満体だったが、ヘアの形は今でもハッキリ目に焼き付いているのに、どんな顔をしでいたのか、まったく忘れてしまった。
六年ほど前、新宿で知り合った女性もそうである。
彼女の場合、陰毛の形を覚えている……といったら嘘になる。というのは、彼女には陰毛がまったくなかったからだ。いわゆる『パイパン』というヤツ。
彼女は、沖縄の生まれでハーフ。小柄で色が白く、セックスをしていると体温がかなりあがり、カラダ全体がシットリと濡れて、全身からえもいえぬ匂いを発散させた。
よく、陰毛の形で、その女性の性格や道具の良し悪しが判るという。
パイパンの場合、ヤキモチ焼きが多くて、感度のほうは鈍いと言われているが、私の数少ない経験(三人)からみると、パイパンだって、感度はかなり良いようである。
体型が痩せていて、ヘアが直毛で太く長い女性は、性的に旺盛だが、味はあまり良くない。
ヘソのあたりからアヌスの周辺まで陰毛が生えている女性は、中性的な性格で、感度のほうも悪いと言われている。〈毛切れにご用心〉というタイブだ。
とにかく、多からず、少なからず、形は逆三角形というのが、見た目も美しいし、感度のほうも良いようである。
ただし、感度というのは開発されて、だんだん良くなっていくものなので、逆三角形ならどんな女でも感度がいいというわけではない。
職業病■
さて、この陰毛を仕事の道具に使っている女性たちがいる。言わずと知れたソープ嬢である。彼女たちは〈ボディ洗い〉という作業の中で、陰毛をタワシがわりにして客のカラダを洗う。
やはり、この〈ボディ洗い〉は、ヘアが少なめよりも、多いほうがやりやすいらしい。あまり体重をかけずに、バストと陰毛で客のカラダをくすぐるように刺激しながら洗うがコツなのだが、よほど熟練しないと、どうしても体重がかかってしまう。
「やっぱり、長いことこの仕事をしてると、かなりへ.アがすり減るみたいね。リンスをしたり、ヘアクリームを塗って手入れをしているんだけど、途中から切れて、全体的にヘアが短くなってしまうの」
吉原で働いている私の知り合いのソープ嬢は、そう言っていた。
「カラダをすり減らす……という言葉があるけど、私たちは、カラダだけじゃなく、ヘアもすり減らしてるわけね」
と彼女は笑った。
ずっと以前は、石鹸の泡を使ってボディ洗いをした。そんなことから〈泡踊り〉などという名称が生まれたのだが、最近は、ローションを使うソープ嬢が多くなった。ローションは透明だから〈ボディ洗い〉をしているときに、彼女のヘアや割れ目がハッキリ見える。
男性の欲望というのは、どこまでもエスカレートするもので・女性の秘部が見えると、今度は触りたくなってくるものだ。
彼女の股間に手を伸ばす。だが、彼女は仕事の途中だから、カラダを大きく動かしている。秘部に触れようとした指にヘアがからまって、抜けてしまったらどうたるか……。
むろん、ソープ嬢が、そんなことで訴えるとは思えないが、これは、あくまでも仮に訴えられた場合どうなるかという話である。
抜毛注意■
ここに判例がある。
ある会社で、温泉に慰安旅行に行ったのだが、酔いもまわってトイレに立った二人の社員が、廊下ですれ違った女中に、お尻を撫でたりしてからかった。
彼女は、すぐ横の空き部屋に逃げ込んだのだが、二人の男は面白がって追い掛けた。
女中が裾を乱して畳の上に倒れると、二人の男は彼女を押さえ付け、下腹部に手を入れてイタズラを始めたのである。
突然、女中は下腹部に激痛を感じて悲鳴をあげた。男たちは驚いて退散したのだが、あとで彼女が局部を調べてみると、赤く腫れていて、付近に陰毛が十数本落ちていたのだ。
彼女は男たちを訴え、検察は、この二人を〈傷害罪〉起訴した。
刑法でいう傷害とは、人のカラダの生活機能を破損すること。つまり、カラダにおける生理状態を不良にする一切の場合をいうわけで、陰毛の毛根部分を残して、毛の部分だけを引き千切るだけだと生理状態に不良の変更がないから傷害とはいえないが、毛根の部分まで引き抜いた湯合は、傷害と解すべきである、としたのだ。
人の毛髪は毛根部分で毛嚢に包まれ・深く皮膚の真皮内に入り込み、下端は球状になっていて、血管、神経を容れているから、こかを引き抜いた場合、血管神経を破壊し、表皮を損傷することは明らかで、これはカラダにおける生理状態を不良に変更し、生活機能を損傷するというわけ。
だから、もし、女性の陰毛を採取したい場合は、毛根まで引き抜かずに途中から引き千切ることだ。